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　北京市にあるチベット仏教の寺である雍和宮が入場(chǎng)者數(shù)制限をしたり、浙江省杭州市の霊隠寺の菩提樹の実などで作られたブレスレットが限定販売になったり、陝西省西安市の広仁寺の入り口に長(zhǎng)さ1キロにも達(dá)する長(zhǎng)蛇の列ができたりと、靜かで厳かな寺院が最近賑わいを見せている。それは中國(guó)の若者の間で現(xiàn)在、「寺院巡り」が人気となりつつあるからだ。

　関連プラットホームの統(tǒng)計(jì)によると、今年2月以降に寺院関連の景勝地の前売り入場(chǎng)券を購(gòu)入した人のうち、90後(1990年代生まれ)と00後(2000年以降生まれ)が約50％を占めている。今年に入り、寺院関連の景勝地の前売り入場(chǎng)券の販売數(shù)は前年同期比310％増となっている。SNSの関連の話題の書き込み數(shù)や閲覧數(shù)は急増しており、今の若者の気持ちをリアルに反映している。

　赤い壁と黃色い屋根瓦、生い茂る木々に、うっすらと煙がたなびく寺院を巡ることは、これまではずっとニッチな旅行スタイルだった。しかし、四川省成都市の文殊院の赤い壁の周辺では、漢服やウエディングドレス姿の若者たちが列をなして寫真撮影する姿が常に見られるようになり、広東省広州市の大仏寺は、SNS上で、日本のアニメ映畫「千と千尋の神隠し」と結(jié)び付けられ、ネットユーザーたちの間では、リアル版「千と千尋の神隠し」と評(píng)判になり、「一度は行ってみたい場(chǎng)所」となっている。江蘇省南京市の大報(bào)恩寺は、建築物の美しさをうまく引き出すライトアップが施され、「ファンタジック」や「サイバーチック」だと話題を集め、まるで伝統(tǒng)的な寺院というよりは一種のアートスペースのようだ。精巧な彫刻が施された歴史的建造物や、神秘的ムードが漂う彫刻や壁畫、悠久の歴史がある宗教の物語(yǔ)など、「寺院巡り」は、文化の洗禮を受ける旅であるだけでなく、アートをじっくり楽しむことができる旅でもある。

　南京市の大報(bào)恩寺

　それだけでなく、雰囲気のいい店を探すために寺院にやって來る人もいる。寺院は清らかで、靜かな環(huán)境であるため、獨(dú)特な神秘的ムードが漂い、そこに設(shè)置されたカフェは気持ちを落ち著けることができる最高の場(chǎng)所となる。一般的なカフェではすでに満足できなくなった若者たちの間では今、「寺院でコーヒーを飲む」というのが新たなトレンドとなっている。

　昨年、杭州市の永福寺の「慈杯コーヒー」がSNSの話題をさらい、多くの人が列を作ってそれを買い求めた。ネットユーザが作った同市の観光ガイドでは、「慈杯コーヒー」が「一度は飲みたい人気商品」として紹介されている。また浙江省臺(tái)州市の龍興寺や福建省廈門(アモイ)市の南普陀寺、上海市の玉仏寺などもここ1年、カフェを打ち出してきた。

　杭州市永福寺のカフェ

　実際のところ、「寺院カフェ」は珍しくなく、日本の多くの寺院も室內(nèi)カフェを設(shè)置しているほか、「仏教入門」といった講座を開設(shè)している寺院もある。

　南京市の鶏鳴寺はカフェや展示のほか、法律相談室や心理カウンセリング室、図書館、國(guó)學(xué)教室なども設(shè)置している。寺院はすでに、さまざまな機(jī)能を備えた複合型公共施設(shè)となっているのだ。なかでも、規(guī)模の大きな寺院にやって來る観光客に最も人気となっているのは、菩薩を祀る大殿を除くと、様々なグッズを販売している「法物流通処」だ。

　美しく、珍しく、素?cái)长仕激いzめられているほか、個(gè)人メディアによる宣伝効果から、多くの若者が寺院の「法物流通処」で數(shù)珠ブレスレットや首飾りといったグッズを進(jìn)んで購(gòu)入するようになっている。なかでも定番の人気グッズとなっているのは、雍和宮の線香の灰で作った「香灰瓷」や「香灰琉璃」といった數(shù)珠ブレスレットで、多くの若者の心を鷲摑みにしている。スタンダード版から、マカロンカラーシリーズや半糖琉璃シリーズまで、雍和宮の「法物流通処」が新商品を打ち出すたびに、中國(guó)全土で大人気となっている。

　「寺院巡り」で心の癒しを得ている若者

　「寺院巡り」がブームとなっているが、若者は寺院の何に魅力を感じているのだろうか？

　寺院の香爐の灰に詰まっているのは若者の「悩み」と言う人もいる。「精神的エネルギーロス」という言葉が昨年から現(xiàn)在に至るまで流行語(yǔ)となっており、現(xiàn)代の若者が長(zhǎng)期にわたって悩みを抱えていることを裏付けている。仕事の悩みや學(xué)歴をめぐる悩み、容姿に関する悩み、スタイルに関する悩み、収入に関する悩みなど、周囲との激しい競(jìng)爭(zhēng)に巻き込まれ、そこから抜け出すことができず、達(dá)観しようと「寢そべった」ところで気持ちがすっきりすることができない若者たちが寺院で「癒し」を得ているのだ。

　中國(guó)の若者たちにとって、寺院はまさに「駆け込み寺」となっている。山奧にある靜けさが広がる古い寺院で、普段とは全く違う環(huán)境に身を置き、日常を忘れることができる一時(shí)が、若者にとって非常に貴重な時(shí)間となっている。寺院の外ではプレッシャーに満ちた現(xiàn)実の世界がある一方、経を唱え、幸せを祈る寺院の中には、全ての人が平等な世界が広がる。數(shù)百年、ひいては千年以上の歴史を誇る寺院が「パワースポット」となり、普段は心が亂れ、落ち著かず、不安な気持ちを抱えている若者がそこで「癒し」を得て、本當(dāng)の自分をしばし取り戻しているのだ。

　「寺院巡り」をして、ストレスを解消し、再び立ち上がってハードルを越えることのできる力をもう一度得ることができるのであれば、これほど良いことはないのではないだろうか。